ヨガは私たちに、人生の中でどんな状況やチャレンジにあってもそれを美しいものに変えて行くことを教えてくれます。アメリカではハリケーン「サンディ」からの回復作業が進む中、日本では津波の被害にあった地域でヨガの生徒さん達がどのように大きな損失に対応し、それぞれのコミュニティーで貢献しているか、私が知ったことを共有したいと思います。 岩手県で教えた際、仙台をはじめ、2011年の津波で大被害を受けた地域に住む生徒さんと知り合うチャンスがありました。

前年、この災害で多くの人々が影響を受けました。ワークショップの後、津波被害の写真集を見せてくれた方がいました。その中の一枚は彼女の住んでいた町で、 津波が来る前の彼女の家も写っていました。次のぺージにはまったく破壊された同じ土地の写真がありました。彼女の家は大きな穴と残骸と化していました。

彼女自身は内陸にいたので助かりましたが、お母さんとお婆さんは自宅にいて、大混乱の中で離ればなれになってしまったそうです。お婆さんはかすかに息をしている状態で見つかり、病院に運ばれましたが、いっぱいで手当をしてもらえないまま病院の外でなくなりました。お母さんは未だに見つかっていないそうです。彼女はヨガをやることによってこの辛い出来事に何らかの意味を見いだそうとしています。

災害以来、家を失った多くの方々が無味乾燥なプレハブ仮設住宅に住んでいます。木や草や花もなく、自然の美しさとは無関係な環境の で、まるで駐車場に倉庫が並んだような感じです。ここに住んでおられる方々は家を失ったばかりではなく、家族、友人、そして「通常」の感覚を失ってしまっています。言うまでもなく、これらの住宅施設では臨床的鬱病の発生率が高いということは言うまでもありません。

破壊された家の中には、400年以上も大事に手入れされ新しい世代に継がれてきた伝統的な日本家屋もありました。そのような家は、単なる住宅ではなく、ひとつの文化の歴史と伝統を伝える重要な陸標として大切にされていました。

このような家屋の最大の特徴は、野草が茂っている茅葺きの屋根です。その美しさも当然ながら、このような屋根は何百年にも渡り(何千年も前に遡るとさえ言われています)自然と共存して来た重要な建築デザインの象徴として、家のオーナーばかりか日本全国で崇拝されて来ました。

ワークショップの出席者のひとりにシダ・アヤコさんという方がいました。彼女は400年「生きてきた」これらの家の歴史を調査してきてとても刺激されていました。そして津波の後、地域の経済復興を願って災害地の植木屋さんから鉢植えの花を買い始めました。そしてボランティアの力を借りて家を失った人たちの仮設住宅にその花を植えるというプロジェクトを開始しました。名前は「花咲プロジェクト」です。

本当の自分の家を持てるのがいつになるのか分からない被害者の方々の生活環境を向上させ、明るい環境を作ってあげたい、そして皆が応援しているという気持ちを伝えることによって心を癒してあげたいという思いでした。 東京でも何人かのヨガティーチャーがこの活動を応援するために資金集めのクラスを開催しました。私はその活動に感動し、ワークショップの収益の一部を寄付する約束をしました。

皆が応援している気持ちを伝え、ちょっぴりでも美しさを散りばめていくだけでも、再び希望の灯をともすことにつながっていくのです。

花咲プロジェクトへのご協力をお願いいたします。

500円以上ご協力いただいた方に「いわて芝棟ものがたり」を1部差し上げます。

《協力金送付先》

岩手銀行県庁支店 普通口座 0101011

社団法人岩手県建築士会 会長 小川惇

〒020-0887 岩手県盛岡市上ノ橋町1-50 Tel/Fax 019-654-5777

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